ミトコンドリア(mitochondria) は細胞の中にある小器官ですが、他と異なり独自のDNA(ミトコンドリアDNA、以下mtDNA)を持ち、分裂・増殖を行います。ミトコンドリアの働きは沢山ありますが、よく解明されている最も重要な働きは、我々が食べるご飯(炭水化物:糖質)、魚、肉など(蛋白質、脂肪)から分解された栄養素をもとに、ATPという体を維持・活動する上で大切なエネルギー物質を作り出す事です。なんとミトコンドリアは体内のエネルギーの90%以上を産生しているのです。
mtDNAあるいは核DNAの異常により、ミトコンドリアの働きが低下する事が原因です。このような細胞は、十分なエネルギーがないために調子が悪くなり、さらにミトコンドリアの機能低下が酷くなるとやがて細胞死となります。
エネルギーを多く使う臓器ほど障害程度は深刻で、最も影響を受けやすいのは、脳や筋肉(脳筋症)と言われています。また、目、耳、心臓、肝臓、消化管、腎臓、内分泌(甲状腺や膵臓)、血液などの臓器にも障害が生じやすく、従ってミトコンドリア病の種類は沢山あります。